一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
試練と和解
「それじゃあ私は風太郎君のところに寄ってから帰るわね」
「家に泊まってもいいんだよ?」
宿泊を促す萌音に、結子はブンブンと手を振って断りを入れる。
「何を言ってるの。夫婦喧嘩は犬も食わないってね。私は遠慮するから二人で思う存分話し合いなさい」
そう言って、結子は上役専用エレベーターの中に吸い込まれていった。
設計課に戻ってきた萌音に、桜としのぶが駆け寄る。
他のスタッフも心配そうにしているが、遠慮して声をかけないのだとわかるので申し訳なさが募った。
「萌音ちゃん、海音の馬鹿は叱っておいたから気にしないで。誰も萌音ちゃんを厄介者扱いになんてしていないわ。それどころか即戦力としても大切な存在なんだから気にしないこと」
「そうだぞ。流川は俺達の誰よりも能力があるし、顧客の受けもいい。体がきつくないならギリギリまで働いてほしい」
女性二人に加わった中武主任も励ましの声をかけてくれた。
必要としている気持ちを伝えたい、というその思いが嬉しい。
「さっきまで佐和山さんもいたんたけど、大事な顧客からの電話が入って出ていったの。今日は直帰になりそうだからって伝言を預かったわ」
しのぶも心配してくれていたのだろう、少し涙目になっていた。
「ありがとうございます。少し頭を冷やしてきました。もう大丈夫です」
にっこりと微笑む萌音は、いつになくスッキリとした表情をしていていつもに増して美しかった。
萌音が自分用のオフィスチェアに腰かけると、それを見届けたスタッフ達もホッとして業務を再開する。
オフィスに吹き荒れた小さな嵐は、ひとまず終息を迎えた。
「家に泊まってもいいんだよ?」
宿泊を促す萌音に、結子はブンブンと手を振って断りを入れる。
「何を言ってるの。夫婦喧嘩は犬も食わないってね。私は遠慮するから二人で思う存分話し合いなさい」
そう言って、結子は上役専用エレベーターの中に吸い込まれていった。
設計課に戻ってきた萌音に、桜としのぶが駆け寄る。
他のスタッフも心配そうにしているが、遠慮して声をかけないのだとわかるので申し訳なさが募った。
「萌音ちゃん、海音の馬鹿は叱っておいたから気にしないで。誰も萌音ちゃんを厄介者扱いになんてしていないわ。それどころか即戦力としても大切な存在なんだから気にしないこと」
「そうだぞ。流川は俺達の誰よりも能力があるし、顧客の受けもいい。体がきつくないならギリギリまで働いてほしい」
女性二人に加わった中武主任も励ましの声をかけてくれた。
必要としている気持ちを伝えたい、というその思いが嬉しい。
「さっきまで佐和山さんもいたんたけど、大事な顧客からの電話が入って出ていったの。今日は直帰になりそうだからって伝言を預かったわ」
しのぶも心配してくれていたのだろう、少し涙目になっていた。
「ありがとうございます。少し頭を冷やしてきました。もう大丈夫です」
にっこりと微笑む萌音は、いつになくスッキリとした表情をしていていつもに増して美しかった。
萌音が自分用のオフィスチェアに腰かけると、それを見届けたスタッフ達もホッとして業務を再開する。
オフィスに吹き荒れた小さな嵐は、ひとまず終息を迎えた。