一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
「ありがとう。・・・そうだね。私も初めての妊娠で、その上双子だったから本当はとても不安だったの。頼りのお母さんはフランスだし、他の人には甘えたこともなかったし・・・。何より海音は私の分の仕事も引き受けてくれたでしょ?だから我儘なんて言えなくて・・・」

「俺は我儘言って欲しい・・・!ただでさえ、萌音に最低限しか触れられないんだ。萌音不足でどうにかなりそう・・・」

顔を赤らめて囁く、こんな甘い海音の言葉と態度は久しぶりだ。

考えてみたら、お互いに気持ちだけでも゛母親、父親にならねば゛と無理をしていたのかもしれない。

「今だから言うけど、実は酔っていたときに避妊を忘れていたことがあるんだ。逆算してもあのときの子供だと思う。だから、俺、萌音に望まない妊娠をさせてしまったんではないかと不安で本当のことが言えなかった」

萌音は驚きで目を見開いたが、涙目で目を真っ赤にしている海音を見たら責める気にはなれなかった。

妊娠は無責任な男のせいだ、というケースもあるだろうが、海音と萌音の場合はそうとは言えない。

ピルやタイミング法など、女性主導の避妊の仕方もある。

全て海音任せだった。萌音にも妊娠の責任はあるのだと萌音は思った。

「そっか・・・。でも安心した。完璧な避妊でも双子を身籠るのなら、出産後はHなんてできないなって思ってたの」

萌音の言葉に、海音が慌てふためく。

「萌音、そんなこと言わないで。おれを絶望させるつもり?まだ俺、27歳なんだけど」

病室に、久々の二人の笑い声が響いた。
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