一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
萌音の笑顔を見て、修成は目を見開いたと思うと真っ赤になって天井を仰いだ。

「もう、あなたったら。そんなに流川さんを見つめたら佐和山さんに怒られるわよ?」

「す、すみません。あんまり可愛いから驚いて」

「いえ、萌音が可愛いのは事実です。見とれるのは仕方ありません」

そんなどや顔の笑顔で淡々と返されても困るだろうな、と萌音は海音を肘でつついた。

そこで萌音はフッと、隣に座る陽を見る。

陽は萌音のお腹をじっと見つめてそっと手を伸ばしてきた。

「うん。よろしくね」

陽が誰かと話しているような様子に、萌音は首を傾げる。

「陽くん、誰とお話ししているの?」

「赤ちゃん」

萌音のお腹を指差す陽に躊躇いはない。

「え、赤、ちゃん?」

「こら、陽。適当なことを言うんじゃないぞ」

修成に咎められても陽はじっと萌音を見つめてお腹をさするだけだ。

「流川さん、陽は鈴ができた時も同じようなことを言ったんですよ。失礼だとは思うんですが・・・」

ちらっと由美が海音を見ると、海音は呆然として鈴を膝にのせたまま固まっている。

「萌音、最後に生理が来たのはいつだ?」

「ちょっ、お客様の前で何てこと言うの」

「これが興奮せずにいられるか!俺には願ってもない知らせなんだからな」

慌てる萌音のことも、山本夫妻も無視して、萌音に詰め寄る海音。

山本夫妻も興味津々で二人を見つめている。

「結婚を前提にお付き合いしてらっしゃるんでしょう?そんなに恥ずかしがらなくても・・・。あ、そうだ、よかったらこれ・・・」

由美がリビングの食器棚の引き出しから妊娠検査キットを取り出した。

「妊娠した友人から貰ったものなの。もう、私には必要ないから差し上げます」

「ありがとうございます。さ、帰ろうか。萌音」

鈴を膝からおろし、萌音の腕を引っ張った海音に、萌音は苦笑しながら書類を鞄に入れて立ち上がった。

「年明けから作業を開始します。よいお年をお迎え下さい」

「こちらこそ。来年もよろしくお願いします。よいお年を」

山本夫妻と子供達に見送られ、海音と萌音はマンションをあとにした。

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