一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
「良いわけがない。それは萌音の作品だ」

「えっ?流川さんの?sea soundっていうくらいだから、佐和山さんの作品だって思っていたのに・・・」

鈴原の呟きが、鈴原は黒だと告げていた。

゛Destiny of the sprouting sea sound゛

萌音の建築デザインのテーマだ。

゛運命的な萌える海の音゛

海外のとある都市の臨海公園開発事業。

在宅でじっくりコンペのデザインを考える時間のある萌音に託された仕事。

それが、この図面に書かれたデザインの全容だ。

゛そうかあ、この間のドラマでも、画期的な商品のアイデアを、まんまと近寄ってきた美人営業スタッフに盗まれてた・・・リアルにもあることなんだ゛

と、萌音は他人事のように感心していた。

「ええ?こんな自己管理の出来ないような子に、そんな世界的なデザインを任せて大丈夫なんですか?私が確認して・・・」

「あら、聞き捨てならないことを2度も言ったわね?別室でモニタリングしていたから、あなたの暴言はずっと聞いていました」

千香子の言葉に、スタッフは呆気にとられるが、スパイを疑っていたのならやむを得ないことだろうと、皆も納得しているようだ。

「萌音ちゃんを馬鹿にするということは、管理栄養士の私を馬鹿にするということ。双子を妊娠中なのよ。お腹が大きいのは当たり前。適当なことを言わないでちょうだい」

フン、と首を横に向けた千香子は、女優であることも忘れて本気で怒っているようだ。

しかし、それも当然だ。

必死で萌音と双子を守るため、美味しくて栄養のある食事作ってきたこと暗に馬鹿にされたのだ。

千香子の怒りは当然である。
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