一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編

出産

「どうしました?・・・佐和山さん?えっ、お腹が痛いの?」

ナースコールでやって来た助産師の三ツ森さんは、お腹を押さえる萌音を見て驚きを隠せないようだった。

当然である。

つい30分前まで、萌音は何の痛みも訴えてはいなかったのだから。

「いつから痛むの?何分おきに痛む?破水は・・・」

矢継ぎ早に質問されて、萌音も痛みと不安で混乱しそうになる。

「あー、ごめんなさいね。不安だよね。大丈夫、ゆっくりでいいから一つ一つ答えてくれる?」

三ツ森さんは、萌音と桜の受け持ちの助産師で、お姉さんのようなハキハキした30代のベテランだ。

「等間隔で痛くなったのはついさっきです。破水は・・・してないと思います。でも、実は・・・」

萌音をベッドに横たわらせ、NSTという赤ちゃんの心音をモニターする機械をつける三ツ森に、萌音は、ばつが悪そうな顔で

「本当は昨日の夜中からなんとなくお腹が痛いような気がしていたんです」

と言った。

「そうだったんだね。赤ちゃんは、ほら、二人とも元気だよ。ひとまず応援呼ぶから急ごう。出産になるかもしれない。佐和山さんも家族に連絡できる?」

部屋の中だけ、しかも短時間ならと電話が許された。

萌音は痛みに耐えながら、海音に連絡した。
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