一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
「フンギャー、フンギャー」

元気に泣いてくれた第一子。

「元気な女の子ですよ」

血液や胎脂にまみれたその子はとても可愛いとは思えないむくんだ顔だった。

友達のお姉さんに、

「生まれたての子供はみんな、ガッツか、デガワだよ」

と言われたことがあるが、正にそんな感じだ。

しかし、フギャ、フギャと体を捻らせる姿が可愛い。

萌音の頬を涙が伝った。

萌音の手を握りしめる海音も泣いていた。

「萌音、ありがとう。もう一人に会えるまでもう少し一緒に頑張ろうな」

娘は待ち構えていた助産師さんに連れられて別室に行ってしまった。

沐浴をさせてもらえるらしい。

あれほど萌音を悩ませていた痛みが急激におさまり、ふと不安がよぎる。

「佐和山さん、第一子誕生おめでとう。次は第二子だが、少し子宮が疲れたみたいだね・・・」

萌音の不安は当たったようで、森久保医師が足元で少し考えている様子が見えた。

何か問題があるのだろうか?

萌音の心は一気に喜びから不安に変わった。


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