一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
萌音が目覚めたと、海音がナースコールを押した。

三ツ森助産師が来て、熱や血圧、子宮の復古具合、出血の量を調べていった。

貧血検査のための採血も済ませた。

夕食時になり、萌音のお腹も急激に空腹を感じるようになった。

今日はお祝い御膳が出るようで、いつにも増して豪華なメニューだった。

海音が買ってきた弁当とお祝い御膳の一部をを交換しながら美味しい食事を摂ることができて幸せだった。

三ツ森助産師の許可を得て、萌音は車椅子に乗り、海音の介助を受けながら新生児室に向かった。

疲れて眠っていたとはいえ、貴重な生まれたての顔の変化を見れなくて残念だ。

幸い、海音が沐浴直後の顔を、三ツ森助産師が出産直後の双子の写真を撮ってくれていたため、気は晴れたが、やっぱり直接見たかったなと思う。

どんどん欲張りになる自分に、萌音は苦笑した。

萌音の出産中、佐和山夫妻と光輝、結子は分娩室横の待合室で待っていたそうだ。

だから、双子の産声を聞くことができたそうで、ものすごく喜んでいたと海音に聞かされた。

沐浴を済ませ、産着を着せられた双子を、まだ抱かせてはもらえなかったらしいが、ガラス越しに見る孫を『可愛い、可愛い』とべた褒めして帰っていったそうだ。

佐和山夫妻の好意に甘えて、萌音の退院後は、光輝も結子も佐和山家にしばらく居候するらしい。

もちろん、光輝と結子の部屋は別々だが、同じ屋根の下に期間限定で暮らすことには不服はないらしい。

変な関係だと、萌音は思ったが黙っていることにした。
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