一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
「可愛いだろう?右が凛音(りおん)で弟、左が詩音(しおん)でお姉ちゃんだ」

双子の名前は出産前に海音と萌音で考えていた。

男×男、男×女、女×女、いずれのパターンでもいけるような名前にしたつもりだ。

ツインソウルの証である、゛音゛という字は外せない。

しかしツインソウルなのは萌音と海音であって、双子はただのツインなので、敢えて゛オン゛という読み方にした。

凛音は2300gの男の子。詩音は2500gの女の子。

ガッツやデガワだった顔はむくみが取れ、赤ちゃんらしく輝いていた。

どちらかというと、凛音が萌音、詩音が海音に似ていた。

「じゃあ、佐和山さん、母乳を吸わせてみましょうか?」

当たり前のことを言われたのだが、萌音は凛音と詩音に見とれていて、母乳のことを失認していた。

「初乳には、赤ちゃんに大切な成分が含まれています。出ても出なくても、吸わせてみましょうね」

隣には海音がいる。恥ずかしい気持ちもあるが、退院すればこれが日常になるのだ。

萌音は海音の視線をヒシヒシと感じながらも、意を決して病衣の前をはだけた。
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