一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
「今日は、右のお乳は詩音ちゃん、左のお乳は凛音くんでいきましょう。どれぐらい飲んだかわかるように授乳の前後で体重を計りましょうね」

ひとしきりおっぱいマッサージをしてくれた後、三ツ森助産師はそう言った。

なるほど、ミルクならいちいち計らなくても飲んだ量は一目瞭然だ。

だが、母乳はどのくらい飲んだかわからない。だから体重を計るのだという。

「そっか、産後は赤ちゃんの体重計も必要なんですね」

「絶対に必要なわけではないけど、今はレンタル等があるから使ってみると便利かも。だけど数字に一喜一憂するようならおすすめしないわね。何事もやりすぎはダメ。向き不向きがあるのよね」

飲んだ後の体重から飲む前の体重を引けば飲んだ母乳の量になる。

理系の海音と萌音には数字が見えた方が分かりやすい。

早速『体重計をレンタルするか購入する』と海音は言った。

まずは左の乳から凛音の口に含ませる。

くすぐったいが、赤ちゃんだといやらしい感じがしないのは可愛いからだろうか。

クチュクチュと教えてもいないのに上手に吸いつき始めた。

しかし、妊娠出産によりボリュームの増した萌音の乳房は、小さな凛音の口にはなんだか大きすぎるようで、何度も乳首を口から離しては、要領を掴もうと必死でフガフガしていた。

「こうやって摘まんで、先の方を含ませるといいよ」

萌音が授乳のコツを習っている間に、海音は詩音を抱かせてもらっている。

初めはコワゴワ抱っこしていた海音も、今ではすっかりパパの顔でにやけていた。

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