一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
一回のお産で男の子と女の子の両親になれた。

考えたらありがたいし凄いことだ。

ふと凛音を見ると、いつの間にか乳首を口から離して眠っていた。

その寝顔は美しくて天使のようだった。

体重を計ると50グラム増えている。

母乳の出方は個人差があるらしいが、萌音はしっかり出ているようだから心配なさそうだ、と三ツ森助産師に言われた。

左の胸を隠して、次は右の胸を出す。

海音から詩音を受け取り、ゆっくりと乳を吸わせる。

抱き方が逆だと、吸わせ方が違って難しい。

これは工夫が必要だと萌音は思った。

そんな中、視線を感じて顔をあげると、三ツ森から凛音を渡された海音が、じっと萌音を見ていた。

「萌音、退院しても絶対に母乳は人前でやるな。もしくはあの胸全体が隠せるケープみたいなやつを使え。家だって油断ならない。佐和山には親父や長嶺教授がいるし、洋輔さんも出入りするからな。」

「もちろんだよ。恥ずかしくて誰かの前でモロ出しなんてできっこない」

海音と萌音のやり取りを聞いて、三ツ森が笑う。

「あら、旦那さんはヤキモチやきなのね」

「ええ、身内だからこそ、絶対に萌音の大事なところは見せるわけにはいきません」

゛大事なところって、おい゛

三流コントのような突っ込みがしたくなるが、詩音がぐずり始めたので、あやして寝かせることにした。

オムツを換え、体重を計ると60g増えていた。

弟よりも飲みが良い詩音。

お腹の外でも、元気に育ちそうで安心した。
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