『異世界に転移したので、モフモフたちにごはんを作ります!』番外編SS 黒豹のヴォラット視点
うっかりじいさんのペースに乗せられてしまった俺は、咳払いをして「いや……」と続けた。
「俺も最初は驚いた。だが……思ったんだが、あれもルディの一面だったんじゃないか?」
俺は、強面の警備隊長である幼馴染みが、情にあつい男である事を知っている。
「ルディはああ見えて、ものすごく気を使うやつだろう? だけど、ただ一人のフェンリルであり、王太子の双子の兄っていう特殊な立場だから、家族から距離を置いているし……本来のルディは、家族を求めていたんじゃないかと思う」
「……」
「キツいことを言っちまって悪いな。じいさんがルディのことを大切に思ってるし、王家のみんなもそうであることはわかるけど、やっぱりあいつはどこか孤独を抱えて生きてるんだよ」
「……そうか」
ギルバートじいさんは、孫を心配するじいさんである以前に、スカイヴェン国の前国王なのだ。
本来ならばスカイヴェン国の王太子となるはずのルディは、王家から離れて、弟と同じ顔をあまり晒さないようにして一騎士として生きている。公式な場では、弟よりも身分が下になるし、騎士である彼は王族の盾として振る舞わなければならない。
あくまでも『家臣』として。
前国王が祖父としてそれを不憫に思っても、彼を見守るしかないのだ。
「俺も最初は驚いた。だが……思ったんだが、あれもルディの一面だったんじゃないか?」
俺は、強面の警備隊長である幼馴染みが、情にあつい男である事を知っている。
「ルディはああ見えて、ものすごく気を使うやつだろう? だけど、ただ一人のフェンリルであり、王太子の双子の兄っていう特殊な立場だから、家族から距離を置いているし……本来のルディは、家族を求めていたんじゃないかと思う」
「……」
「キツいことを言っちまって悪いな。じいさんがルディのことを大切に思ってるし、王家のみんなもそうであることはわかるけど、やっぱりあいつはどこか孤独を抱えて生きてるんだよ」
「……そうか」
ギルバートじいさんは、孫を心配するじいさんである以前に、スカイヴェン国の前国王なのだ。
本来ならばスカイヴェン国の王太子となるはずのルディは、王家から離れて、弟と同じ顔をあまり晒さないようにして一騎士として生きている。公式な場では、弟よりも身分が下になるし、騎士である彼は王族の盾として振る舞わなければならない。
あくまでも『家臣』として。
前国王が祖父としてそれを不憫に思っても、彼を見守るしかないのだ。