俺様御曹司の専属メイドになりました
それはまだ、響の専属メイドになる前。

あたしは家計をやりくりするために色んなバイトをしていた。

その一つ、新聞配達のバイトでのことだった。

どうやら藤堂家にも行っていたようだ。

響の話によると新聞だけは自分で取りに行くらしい。

あたしは気づかなかったけど、響は毎朝あたしを見ていたようだ。

確か中二の時、すっごいイケメンと話したっけ。

その日は大雪でいつもより配達が遅れてしまった。

「お待たせしました」

ポストの前で立っていたのはすごくカッコいい男子だった。

「お疲れ」

その男子はそう言って、マフラーを渡してきた。

「そんな格好じゃ風邪引くよ」

「あ、ありがとうございます……」

あたしは状況が飲み込めず、驚いてたっけ。

今思えばあれは響だった。
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