俺様御曹司の専属メイドになりました
「おい、華」

「何?」

「膝枕してよ」

はあ!?

「ダメだよ。誰かに見られたらどうするの?」

無理だよ。

なんでそんなことばっかり言うの?

「……響には分からないよ」

「は?」

「あたしが今、どんな気持ちかなんて」

響は黙りこんだ。

「じゃあ、お前は俺の気持ち分かるのかよ?」

「それは……」

分かりっこない。

「そういうことだよ。人の気持ちなんてエスパーじゃない限り、分からねぇんだ」

あたしを真っ直ぐ見てきた。

「何悩んでるか知らないけど、今だけ忘れろよ。俺はお前の味方だから」

「……響っ!」

あたしは響に抱きついた。

「離れたくない」

ボソッと呟いてしまった。

幸い響には聞こえてなかったようだ。

「俺も」

ぎゅっと抱きしめてくれた。

明日からはただの同級生なんだ。

「…すき」

「え?」

あたし、声に出してた?

キーンコーンカーンコーン。

「あ、戻らないとね!早く行くよ」

響から離れ、屋上を出ようとした。

「……ダメだ」

だけど、腕を掴まれてしまった。
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