俺様御曹司の専属メイドになりました
「待ってってば!」

響は無言で別館に入っていった。

そして、自分の部屋にあたしを入れると鍵をかけた。

「…何、してるの?」

「やっぱりダメだった。俺の人生は母さんの言う通りでしか動かないんだ」

「そんなことない!響の人生は響のものだよ?何、馬鹿げたこと言ってるの!?」

「お前には俺の苦しみなんて分からねぇよ!」

そんなの分かるわけないじゃん。

あたしは響の肩を揺らした。

「響が言ってたじゃん。エスパーじゃなきゃ人の気持ちは分からないって。あたしはエスパーじゃないから、響の苦しみなんて知らないよ!!」

あたしはなぜか泣いていた。

「……でも、一緒に戦えるよ。今なら変えられる。諦めてどうすんの?やっぱガキなの?……響は勇者だって信じてる」

響はハッとしたようだった。

「そうだ。華の言う通りだ」

立ち上がって、あたしの手を握った。

「戻るぞ」

「うん!」
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