俺様御曹司の専属メイドになりました
お母さんの部屋の前に来たけど、まだ手を繋いだままだった。

「このまま入るの?」

「俺の決意表明だし」

二人で扉を開けた。

響を見るなり、お母さんは立ち上がった。

「あなた、どこに……」

そして、手を繋いでいるのを見て言葉を失っている。

「私は許さないから」

「別にいいよ。俺が出てく」

「なんですって!?そんな子のために藤堂の名を捨てる気?」

「名前なんていらない。俺が欲しいのは華だ」

よくもまあ、そんな恥ずかしいこと言えるな。

あたしは赤くなった。

「私の教育に何が不満なの?いつもあなたのためを思ってやってきたのに」

「…本当に俺のためなのかよ」

お母さんの表情が曇った。

「それ以外、何があるの?」

「母さんは俺を何だと思ってるんだ。俺は母さんの生き写しじゃない。藤堂響っていう、一人の人間だ」

そう言い切った響は最高にカッコよかった。
< 236 / 247 >

この作品をシェア

pagetop