かわいくて甘い後輩がグイグイ来る

古岡サクラ、頭が追いつく。

「う……あ……ああああ!」

 花野井くんが言った通り、本当に数時間後に私は、先程起こった出来事について顔を赤らめていた(というよりただただ発狂していた)。

 私は、キスを、ファ・ー・ス・ト・キ・ス!を後輩に奪われたような状況なのだった。
 何よ花野井くん……!とは思ったものの、「嫌だな」とは思わなかったので、花野井くんが言ったように「腕を振り回す」なんてことはしなかったわけだが。いや、たとえ思ったとしても腕は振り回さない。

 花野井くんは普段、とてもとても可愛い後輩だ(った)。
 それがあんなに突然豹変するとは……。
 人生初の壁ドンまで経験したし……。何というのか、ドキドキしすぎて心臓発作でも起こしそうだ。

 いやいや、あんなかわいい顔で迫られて正気でいられるのか。

 明日どんな顔で会えというのだ。
 本当に、何よ花野井くん!!

 いや……落ち着け、古岡サクラ……。
 私は、花野井くんより2つ年上の真面目な先輩……。もしかしたら、男っ気のない私をからかったのかもしれないじゃない。花野井くんにとっては、遊びだったかもしれないじゃない……!

 そう思うと腹がたってきたわ……!
 明日は、何事もなかったかのように話してやる……!
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