かわいくて甘い後輩がグイグイ来る

文化祭が始まる(ここからが本番かも)

「あ、そういえば先輩のクラスって、文化祭何やるんですか?」

 帰り道、花野井くんが私に尋ねてきた。

 ……ちなみに花野井くんは、また私の家まで送ってくれると言った。しかし!何とか途中までにしてもらった。

「うーん……。まだ具体的なことは決まっていないけど、ステージでダンスとかやる感じよ」

「へぇー……先輩は出ないんですか?」

「で、で、出ないわよ!ダンスも歌も下手だし!」

「えぇ〜。つまんないなぁ」

「いいでしょ、別に!
 ……花野井くんのところは?」

「ん〜
 ……秘密っ☆」

 ……何よぉ。

「あら、そう」

 気になる、なんて口に出さないのよ私は。

 "大人な先輩"ですから!

「本番楽しみにしててくださいよ」

 はいはい。

「……あ、花野井くん。ここまででいいわ」

 花野井くんと別れる場所に着いてしまった。

「本当は最後まで送りたかったのにぃ……。
 まあ、先輩がそこまで言うなら仕方ないな。

 じゃあまたね、せんぱ「千歳くんっ!」

 花野井くんがかすかに私に顔を近づけた瞬間だった。

 かわいい女の子の声がした。

「……?」

「……羽島!?」

 花野井くんは声がした方を向く。

 私も目を向けてみる。


 するとそこには、

 とても可愛い女の子が立っていた。

「はあ……良かった、千歳く、はあ……はあ……」

 "羽島"と呼ばれた女の子は、走ってきたのか息を切らしていた。

「あなた、大丈夫?息切れしてるじゃない」

 私は、可愛い女の子があまりに苦しそうなので声をかけてみた。

「あ、大丈夫……です。お気遣いありがとうございます!」

 女の子は、本っっ当に可愛い笑顔で答えてくれた。
 愛想も良いなんて……。

 で、この子は一体何故花野井くんを追いかけて来たのだろう。

「どうしたの羽島!僕に何か用?」

 ……本当に私だけなんだ……。

 花野井くんのキャラが明らかに違う。

 何か照れるな。

「う、ううん。ちょっと文化祭のことで……帰りながら話そうかなって思ってたんだけど……そちらの先輩と帰るのかな?」

「あ、いいえ私は。ここで別れる予定だったので」

「あ、すみません!なら良かったです……。

 千歳くん、このあと一緒に帰らない?確か家の方向同じだよね」

 なるほど……。この女の子は花野井くんと一緒に帰りたかったわけか。

「おぉ!いいよぉ

 ……じゃあまたね、先輩☆」

 バチッと音のしそうなウインクを私に残し、花野井くんは羽島さんとともに逆方向へ歩いていった。

 花野井くんは一昨日まであのキャラだったのに……。どっちが素なんだ。

 それにしても、同級生とも仲が良いんだなぁ。

 ……いや、仲が良いというよりもしかしたら羽島さんは……
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