やってきた冬に、舌打ちをした。
「こども扱い、やめてよね」
「こどもだろ」
……キライだ。キライだ。ほんとはダイスキなのかもしれないって、思うのに。思っちゃいけないって、思い直さなきゃいけない。キライだ。
「俺より1個、こども」
「……たった1歳差でしょ」
「1歳差でも、俺はちっさい時から……チビを守るってつもりで生きてきたよ」
『ちっさい時から』そうだよ。夢見ちゃいけない。
どんなにスキでも。それを封じ込めないと。
「お兄ちゃんって呼んでくれなくなったよな」
「いまどき、実の兄をお兄ちゃん呼びのこは少ないよ」
尊敬してるひとを呼ぶことはあるけど。付け足す。
「ふぅん。つまんねぇの」
彼は口を尖らせた。
「つまんなくないよ」
「つまんねぇよ」
「あっそ」
可愛くない私を、彼は見捨てない。見捨てることができない環境だから?なんて、ズキズキ。勝手に感傷に浸っているだけ。
「まぁ、もう歳なんてとらないから……お前は一生こどもだけどな。そこは面白いかも」
べっと舌を出してから、彼は笑った。
そこが、苦しい。そこが、痛みの元。