やってきた冬に、舌打ちをした。



すぅ、と彼が息を吸う。





「――泣くなーーーーーっ!!!!!」





びくり、肩が震えた。……突然叫ばないでよ。



風が巻き起こり、葉をなくしてしまった木々が震え、悲鳴をあげ騒ぎ……ひとびとが、なんだなんだと振り返る。



「な?これが、奇跡」



……嘘。



「奇跡は起きるよ。起こせば、起きる」



ウソ。うそ。



意味わかんないよ。



「父さんと母さんにも、奇跡をみせてやる」



腕に込められた力に、安心して息を吐き出した。



白い息がこぼれる。


< 8 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop