彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
《友達だと思ってたのは、私だけだったの!?》
「え!?あの・・・」
《一緒にいていじめられるとか・・・そんなこと気にしてたの!?少なくとも私は、菅原さんを友達だと思ってるよ!?》
「吉田さん・・・」
《いじめのことは、大丈夫だよ!私も・・・今いじめられてるじゃん?同じじゃない?2人で頑張って乗り切ろうよ?》
「・・・!?」
(ふたりで?がんばって?のりきろう?)
「・・・・・私といたら、吉田さんへの被害がひどく・・・」
《ならない!ひどくなんて、ならないよ!2人で別々にいる方が・・・絶対にツライ!一緒にいよう!?ねぇ、お願い!》
「いいの?」
馬鹿だと思った。
何を聞いてるのかと、自分でも思った。
「私と一緒にいても・・・・いいの?」
なんて質問をしたんだろうと思った時、相手は答えを口にしていた。
《もちろんいいよ!一緒にいよう!いじめがなくなるまで、一緒にお昼食べよう!私達、友達でしょう?菅原さん?》
「―――――!!?」
―ともだちでしょう?―
その言葉が、深く胸に刺さる。
(・・・お兄ちゃん。)
瑞希お兄ちゃん。
(・・・・・信じていいのかな?)
『菅原凛』は友達に恵まれていない。
『凛道蓮』の時しか、友情運がない。
そう思っていたけど――――――――――
「本当に・・・・・・・・私と友達でいいの・・・?吉田さん・・・?」
《うん!》
(嬉しい・・・!!)
素直に、嬉しかった。
私を友達だと言ってくれたことが嬉しかった。
(信じたい。)
その言葉を、彼女の友情を、
(吉田さんを信じたい。)
そう思った時、私は次の言葉をつむいでいた。
「こんな私でよければ・・・・・お友達になって下さい、吉田さん。」
《もちろんです、菅原さん!これで私達、友達になれたね?ありがとう!》
「こちらこそ・・・・・・!!」
不意打ちだった。
(まさか、瑞希お兄ちゃん以外のことで、泣けてしまう日が来ちゃうとは・・・)
「ありがとう・・・・!!」
『菅原凛は友達』だと言ってくれた吉田さんの言葉は、胸に深く刺さって、心の真ん中に届く。
暖かい言葉が、溶けて、しみ込んで、心を温めてくれた。
私を、『菅原凛』は癒してくれた。
良い意味で、その日は朝から泣いてしまった。