彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)


「言ったよ?教室から菅原さんの姿が見えたから、急いで追いかけたんだもん。」

「え!?」

(教室から見えたって・・・!?)


「そ、そんなに目立ってましたか!?まさか、他の人―――――――!?」

「見られてないよ!大丈夫!」

「よかった・・・!」


力み過ぎたからだの力を抜けば、相手にもそれが伝わったらしい。


「あははは!菅原さん、緊張しすぎだよ~」

「吉田さんは・・・肝が据わってますね?」

「だって、やると決めたら思い切りが大事だもん!さあ、食べよう!」

「あ・・・。」


ニッコリ笑うと、カバンからシートを取り出してコンクリートの地べたに敷く吉田さん。



「菅原さん、座って!」



シートの上に腰を下ろした吉田さんが、自分の隣を叩きながら私を誘う。

手招きをしてくる。



(横に座っていいのかな・・・?)


「はーやーく!菅原さん!」

「あ!?」



そう言って笑うと、強引に私の手を引いて横に座らせる吉田さん。


(思っていたより、積極的で人懐っこいな・・・)

「菅原さんのお昼ご飯って何?」

「えーと、パンにしました。」

「意外だね~お弁当を持ってきてると思ってた。」

「えーと、外で食べてくるって言ったから・・・」

「え!?もしかしてお昼ご飯、家で用意してもらってた!?」

「ううん!いいんだよ!」

「本当に!?・・・ごめんね・・・」

「気にしないで。」

「じゃあさ!今度は食べに行こうよ。渕上さん達が絶対来ない、良い場所を知ってるんだ~」

「え?あの人達が来ない場所なんてあるんですか??」

「あるよ!てゆーか・・・いつも学校が終わったらどこに行くかを・・・行先をしゃべってるのを聞くからわかるんだ。」

「あ、なるほど。」


それなら、遭遇は防げるわね~


(とはいえ・・・そこまでして、吉田さんと行動を共にする意味があるかしら?)


「あ、あのね、菅原さん!」



どこまで危険を最小限に出来るかと考える私に、吉田さんが上ずった声で話しかけてくる。


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