彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)


内心複雑な私をよそに、吉田さんはウキウキしていた。


「じゃあ決まりだね!呼んでみて!」

「あ・・・・うん。よっちゃん・・・?」

「うん!いいねぇ~!」

「そ、それならよかった。」


ニコニコしながら言う相手にホッとする。

あだ名で呼んで、喜んでくれるならそれでいい。


(それで喜ぶなら・・・・・)


嫌がられてないなら、それで・・・・・・・・・・うん。



(・・・・・・・いいかな。)



そう思えたら、なんだか心があったくなった。



「じゃあ私はよっちゃんでいいとして~菅原さんはどうしよう?」

「え?」


ほのぼのしていたら、急に話しをふられる。


「どうしようって・・・?」

「呼び方だよ、呼び方!あだ名!」

「え!?」

(私も!?)


まさか、私の方まで呼び方を変えられるとは思わず、戸惑う。


「わ、私はこのままでいいよ?」


大丈夫だと手を振れば、不満そうに吉田さんは言う。


「それじゃ不公平だよ!私達、友達なのに・・・なんか、疎外感を感じる。」

「そ、そうなの?」

「そうだよ!菅原さんは、皆からなんて言われてたの?菅原ちゃん?すがちゃん?『凛ちゃん』?うーん、『凛ちゃん』でいいかな!?」


「りんちゃん・・・・」

―凛ちゃ~~~ん♪―



「―――――――――――っ!?」



その質問で脳裏に1人のオネェさんの声が響く。

声だけでなく、姿までもが一緒に再生された。



「ダメです。」

「え!?」


(ダメだダメだ!モニカちゃんの印象が強すぎる!!)



〔★彼女も濃すぎるキャラだった★〕



私を『凛ちゃん』呼びする人は、モニカちゃんだけだったから――――!


「『凛ちゃん』は、やめて下さい。」

「即答!?」

「無理です。」

「良いと思ったんだけどな~?」

「ごめんなさい・・・!!」

「いいよ、いいよ!そこまで言うなら、別のにしようか?」



事情を知らないながらも、私の意見を採用してくれた吉田さん。


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