彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「よくある主人公を取りあうハーレム系だけど、すっごくエモいんだよ~!?俳優陣もアタリばっかりだと思わない!?」
「アタリですね。」
押し付けてくるスマホ画面を見ながら同意する。
事実、本当にこの前の映画はエモい・・・胸キュンで最高だった。
(近距離で見た瑞希お兄ちゃんの寝顔・・・私の体に寄りかかるぬくもりと香り・・・吐息が・・・あああああ♪)
「エモいです・・・!」
「エモいよねぇ~!」
〔★真意は違うが、2人の会話は成立した★〕
あの暗闇の中での触れ合いを思い出し、気温による暑さではない熱が全身に広がる。
(ホントよかったわぁ~映画!これというのも、瑠華さんがチケットを譲ってくれたおかげで瑞希お兄ちゃんと恋愛映画見れたんだもんねぇ~♪)
いくらお気に入りの弟分のお願いとはいえ、凛道蓮は男の子だからね~
漢の後輩が男の先輩を恋愛映画に誘うって、誘うことは出来ても、同意してもらえる可能性は低いからな~
(ホント、瑠華サマサマだよね~)
瑞希お兄ちゃんとのラブイベントの思い出が作れたのは、瑠華さんのおかげ過ぎるぅ~!!
(これはしっかり、お礼しなきゃね!!)
そうと決まれば、早めにお礼を言いに行かなきゃ!
お礼の品も用意しなきゃダメだよね!?
ラーメン屋さんを間借りしているNPOの事務所に行ければ、瑠華さんに会えるかな!?
(瑞希お兄ちゃんに相談しよう~と!そしてあわよくば、2人きりで瑠華さんのところに訪問を~♪)
「・・・すがちゃん・・・?すがちゃん!」
「え!?はい!?」
その呼びかけで我に返る。
声のした方を見れば、心配そうな表情で吉田さんが私を見ていた。
「ど、どうしました!?」
「いや、すがちゃんこそ、どうしたの!?顔が・・・」
「か、顔が??」
思わず、自分の顔を触る。
(何も変わりないはずだけど・・・??)
顔面を触り名が確かめる私に、バツの悪そうな表情でよっちゃんは言った。