彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)


「うん・・・なんか・・・・・・すがちゃんって、そんな顔もできるんだね・・・?」

「えっ!?ど、どんな顔してました!?」

「え~・・・ニヤニヤ系?」

「!?」


思いっきり、気を遣っている表情で言われ恥ずかしくなる。


「す、すみません!!」

「いーよ、いーよ!でも、力学の公式を見ながらニヤニヤするって・・・さすが、勉強できる人は違うよね~菅原さん、理数系女子だったの?」

「い、いえいえ!そういうわけでは~」

「でも、ニヤニヤしてたよ?」

「そ、それは~~~~~~!よ、よっちゃんと!あ、遊びに行く約束が出来て、嬉しいと言いますか~!!」


苦しまぎれに吐いた言葉。


「え?」


目にとまった不正解を指さしながら誤魔化す。

そんな私の発言に、一瞬、吉田さんの表情が曇る。



「そこまで・・・・・・・・・・喜んでくれるの?」

「え?ええ!はい!いじめられっ子になってから、誰も相手をしてくれないので~あははは!」

「・・・・・・そう・・・・・・」



うなずきながら、小さくつぶやくよっちゃん。

その表情が少しだけ引っ掛かったが、



「勉強教えてって頼んだのに、遊びに話に変えちゃってごめん!悪いんだけどすがちゃん、ここの法則の出し方がわからなくて・・・」

「え?ああ、これですか?これは――――――――――」



すぐに明るいよっちゃんに戻ったのと、質問されたこともあって気に留めなかった。

むしろ、自分の妄想を誤魔化せたことにホッとしていた。

この時の私は、よっちゃんに勉強を教える一方で、瑠華さんにお礼をするという方向で考えがまとまっていた。

だから、よっちゃんへ質問をすることなく、彼女の質問に答えるだけに徹した。


< 162 / 922 >

この作品をシェア

pagetop