彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「うん・・・なんか・・・・・・すがちゃんって、そんな顔もできるんだね・・・?」
「えっ!?ど、どんな顔してました!?」
「え~・・・ニヤニヤ系?」
「!?」
思いっきり、気を遣っている表情で言われ恥ずかしくなる。
「す、すみません!!」
「いーよ、いーよ!でも、力学の公式を見ながらニヤニヤするって・・・さすが、勉強できる人は違うよね~菅原さん、理数系女子だったの?」
「い、いえいえ!そういうわけでは~」
「でも、ニヤニヤしてたよ?」
「そ、それは~~~~~~!よ、よっちゃんと!あ、遊びに行く約束が出来て、嬉しいと言いますか~!!」
苦しまぎれに吐いた言葉。
「え?」
目にとまった不正解を指さしながら誤魔化す。
そんな私の発言に、一瞬、吉田さんの表情が曇る。
「そこまで・・・・・・・・・・喜んでくれるの?」
「え?ええ!はい!いじめられっ子になってから、誰も相手をしてくれないので~あははは!」
「・・・・・・そう・・・・・・」
うなずきながら、小さくつぶやくよっちゃん。
その表情が少しだけ引っ掛かったが、
「勉強教えてって頼んだのに、遊びに話に変えちゃってごめん!悪いんだけどすがちゃん、ここの法則の出し方がわからなくて・・・」
「え?ああ、これですか?これは――――――――――」
すぐに明るいよっちゃんに戻ったのと、質問されたこともあって気に留めなかった。
むしろ、自分の妄想を誤魔化せたことにホッとしていた。
この時の私は、よっちゃんに勉強を教える一方で、瑠華さんにお礼をするという方向で考えがまとまっていた。
だから、よっちゃんへ質問をすることなく、彼女の質問に答えるだけに徹した。