彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)


「わぁ~・・・お優しいのはもちろんですが、3倍返しというところも太っ腹ですね~!」


へぇー瑞希お兄ちゃんが3つも・・・

へぇー瑠華さんにそんなにたくさん・・・

へぇー妬けちゃうなー・・・



〔★凛の嫉妬が再燃した★〕



「この3つ全部、お礼の品ですかぁ~?瑞希お兄ちゃんは本当にお優しいですね~?」

お礼の品とわかっていても、瑞希お兄ちゃんからというのが妬ましい・・・!!という気持ちを抑えつつ、笑顔で茶化しながら伝えれば、言われた。


「いや、全部、鳴海瑠華さん宛じゃねぇーぞ?」

「え!?違うんですか!?」

「1個だけだ。ホワイトデーじゃねーぞ?」

「で、ですよねぇ~~~!?」

(よかったぁ~)


いくらお礼と言っても、瑠華さんに貢ぐような真似を、瑞希お兄ちゃんがするわけないもんねぇ~



〔★凛の嫉妬は再鎮火した★〕



「鳴神瑠華さんに礼するなら、他の2人の分も一緒にもっていった方が話が早いと思ってな。」

「他の2人?」

「そうだ。」


思わず聞き返せば、瑞希お兄ちゃんは簡単に説明してくれた。



「渡す相手は3人。1人は定食屋に間借りしてる『NPO法人未来』の事務所にいる鳴海瑠華さん、もう1人は『NPO法人未来』の責任者の渡瀬学さん、最後の1人が丸山さんだ。」

「え!?」



お礼の品が瑠華さん1人宛じゃなかったことで嫉妬は収まったけど、今度は驚きが発生した。



「渡瀬さんと丸山さん!?」



瑞希お兄ちゃんの口から出た名前を聞き返せば、ニンマリ顔で瑞希お兄ちゃんは言う。



「知ってんだぞ?凛が家出っ子達の奪還で、事件に巻き込んだ大人達だろう~?」

「そ、それは!」



ギョッとして彼を見れば、優しい笑顔とは裏腹の低い声が瑞希お兄ちゃんから発せられる。



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