彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
私の賞賛に、瑞希お兄ちゃんは照れながら言った。
「つーか、凛の神対応には負けるけどなー?聞いたぞ~!凛が薬漬けで捕まってた少女達に、渡瀬さんの名刺のコピーを渡したんだってな~!?渡瀬さん、それで警察といろいろやりあって、大変だったらしいぞ?」
「う!?そ、それは~」
「はは!そのおかげで、未成年を保護する活動のために、いろいろ認可が下りたとかで、動きやすくなったとは言ってたからなぁー?」
「えっ!?瑞希お兄ちゃん・・・今も渡瀬さん達と交流があるんですか・・・!?」
「弟の知り合いを把握しとくのも、兄貴の務めだろうが?あと、今後を考えれば、付き合い長くなるのは間違いないからなぁ~」
意味深に言うと、両手の手のひらと手首まで、アルコール消毒をする瑞希お兄ちゃん。
「連絡したら、今日は3人ともいるって言うし、サツもうろついてないから、凛を出向かせるのにはピッタリだと思ってな。」
そう言いながら、お店で出す食べ物の用意を始める。
「凛は3人には、特に世話になったんなら、直接あいさつしなきゃダメだろう?」
「そ、そうですが・・・いいんですか?今から行くなら、お店の方は・・・?」
「心配するんな!今日は全員集合だから、凛1人が抜けても大丈夫だ。少しぐらい帰ってくるのが遅れてもいいから、ちゃんと話して来いよ?」
「そうでしたか、わかりました。じゃあ、行っ・・・え?『1人』?」
「おう、『凛1人』抜けても、店は回せる。」
瑞希お兄ちゃんの言葉を聞き返せば、キッチンでの作業を止めることなく返される。
「・・・・あの・・・・」
「ん?どうした?」
一向に、作業の手を止めることなく、出かける準備を始めない瑞希お兄ちゃんに聞いた。
「・・・・僕、『1人』で、行くのですか・・・?」
「ああ、配達頼んだぜ、凛?」
さわやかな瑞希お兄ちゃんの言葉と笑顔で理解する。
(1人で行けってかぁ――――――――――――!!!?)
瑞希お兄ちゃんと2人ではなく、私1人きりでだとぉ――――――――――――!!!?
〔★凛の希望していない展開だった★〕