彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
彼女がボランティアをしている事務所近くの駐輪場に単車を止める。
「思ったより、早く着いたな・・・」
時間を確認しながら、周囲の様子をうかがう。
『凛道蓮も巻き込まれた』家出っ子達を使った悪質な犯罪があったおかげで、渡瀬さん達の事務所があるNPO法人未来周辺は、巡回する警官の数が増えていた。
『凛道蓮』の状態で、バイクと一緒にいたら、職務質問と免許書の提示を求められるのは必然。
だから安全策をとって、バイクを置いてからの徒歩移動へと変更する。
(開店時間に間に合わなくていいとは言われたけど、やっぱり瑞希お兄ちゃんと長くいたい・・・!!)
両手に持ったお礼の品々を落とさないようにしつつも、速足で移動する。
瑞希お兄ちゃんと2人でお礼に行けないのは残念だけど、瑠華さんには本当に感謝してる。
(彼女のおかげで、私と瑞希お兄ちゃんにラブリーな映画を見ることが出来て、ときめく時間を提供して頂けた!)
丸山さんと渡瀬さんはもちろんだけど、瑠華さんにはしっかりお礼を言わなくちゃ!
〔★凛の中での感謝は、瑠華メインになっている★〕
パトカーや警察の原付を見かけなかったので、見回りの時間とかぶらなかったことにホッとする。
そういうところだけは、運が良かったと思う。
定食屋さんへは、このまま直進の大通りを渡ればすぐに着く。
(―――――あ!赤になった・・・。)
歩道の先の信号機の色が変わったので止まった。
はやる気持ちを抑えつつ、目の前を通り過ぎている車を眺めながら信号が変わるのを待つった。