彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「いいねぇ~年下の気遣い!お姉さんへ、現物を使って感謝を表したってこと~!?」
「まぁ、そうなんだけどさぁ~お礼の品が、年下らしいっていうかぁ~」
「なになに!?」
(この人・・・・・年下からお礼をもらったんだ・・・)
なんとなく、自分との共通点を感じ、思わず会話に聞き入る。
「なにもらったの!?」
「それがさぁ~」
返事を待つお友達と一緒に、私もその女性の言葉を待つ。
「ケーキくれたの。それもホールケーキ!」
「え!?」
(私と同じ!?かぶった!?)
偶然の一致にびっくりしたけど、その後に続く会話にも驚かされた。
「マジ!?すっごい最悪じゃん!?」
「でしょー!?ガチで迷惑だったわ~!」
(ええ!?)
最悪!?迷惑!?
(それって―――――――――ホールケーキが・・・・ってこと!?)
まさかと思ったが、真相を確かめるためにも、そのまま盗み聞きを続ける。
お礼をもらったという女性が、うんざりしたような顔でしゃべる。
「お礼をするのはいいけどさ、こっちはダイエット中だってのに、カロリー高いのばっかりくれるんだよね~しかも、インスタ映えしない普通のケーキ!」
「ゲェ~信じらんなーい!インスタ映えもしないただのケーキくれたの?ホールサイズの?」
相づちを打つもう一人の女性も、その表情はあまりよろしくない。
「なになに?あんたが貧乳だから、脂肪の足しにでもして下さいって考え?ソフトセクハラかい?」
「うっさいよ、ばか!あの子はそういう子じゃないから!!だからさー理由聞いたわけ!そしたらさ~『女性は甘い物か花が良い』って聞いたらしくて~あたしが花粉症だから、ケーキの方が良いと思ったんだって!」
「うわ、単純!でも、花粉症の気遣いできるだけマシじゃん?」
「まぁーね!てかさー甘い物、花束ときて、なんで貴金属とか出てこないわけ?意味わかんない!」
「だよね~どうせもらうなら、アクセサリーがいいけど~年下は金ないもんね~!甘い物は私も困るわ~カロリー気になるもん!それでそのホールケーキ、もらったその日のうちに食べきれたわけ?」
その問いかけで、ホールケーキをお礼にもらった女性の表情が一気に悪くなる。