彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)


「とりあえず、チョコちゃん!お礼の品、本当にありがとね~」


いろいろ察して下さった渡瀬さんが、話題を変えながら明るい声で言う。


「チョコちゃんにも、チョコちゃんの兄君にも、気を遣わせちゃったね?いくらかかったの?お金は返すからさ~」


そう言いながら、財布を出す大人にぎょっとした。


「え!?とんでもないですっ!お兄・・・兄に怒られます!お金は、家出少女達を減らすために使って下さい!!」

「あははは!参ったなぁ~そう言われると・・・うーん、そっかぁ~・・・・じゃあ、今回だけ、頂こうかな?ありがとう。」

「い、いえ!こちらこそ。」

「ほら、丸山君も!」

「・・・・困ったことがあれば、何でも言うんだぞ、チョコ?ありがとうな?」

「はい!頼ります!」

「でもチョコちゃん、次からは、こんなことしなくていいからね?自分のために使いなさい。」

「は、はい。」


そう言われたが、受け取ってくれたのでホッとした。



「はい、終わり。塗れたわよ、チョコちゃん。」



そんなやり取りをしている間に、瑠華さんからの親切なハンドケアは終わっていた。


「すみません、瑠華さん。」

「どういたしまして。」

「あの、瑠華さんにも~」

「あら、くれるの?そうなると~そっちが、私の分かしら?」

「え?」


ポケットから、雑貨屋さんで買った物を出す前に彼女は言う。

その視線は、洋菓子屋さんの包装に向けられていた。


「もしかして、ケーキ?」

「・・・・・はい。」


目を丸くする瑠華さんを見て、やっぱり・・・と思う。


(・・・・・・・カロリーが気になる女性に、当日賞味期限のケーキはアウトか・・・)


大丈夫。

もらっても困る反応されても、『僕が選びました!』って言うから、大丈夫。


(瑞希お兄ちゃんのメンツはつぶさない!)



〔★凛は瑞希の心配しかしない★〕



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