彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「どうしてチョコちゃんは平気なんだろう。」
「はい?」
「どうしてだろう。」
「きゅ、急にどうしたんですか??」
「あたしね~幼児でも・・・・・『素の時』に、オスに触るのは無理なのに・・・・・男と腕組みとか不可能だったんだけどねぇー・・・」
「え?」
それって・・・
「・・・男性と接触するのが、ダメだったんですか・・・?」
こわごわ聞く。
男装してる私が、内心修羅場の心境で質問した。
「そうよ。でも・・・・・・・・チョコちゃんは違うのかな・・・・?」
私の問いに対し、小さく答える瑠華さん。
「瑠華さん・・・?」
今までの明るい声がウソのような暗い声色。
そっと相手を見れば、うつろな瞳で私を見ていた。
「―――――――――っ!?」
反射的に動けなくなった。
(―――――――ヤバイ!)
なにがヤバいのかは、わからない。
だけどこの感覚・・・敵と対峙(たいじ)する時みたいな緊張感がある。
・・・なんだっけ?
なんて言うんだっけ~??
ことわざで~~~~~あ!?あれだ!
(『蛇に睨まれた蛙』だ!!)
〔☆良い子のためのワンポイント解説☆〕
蛇に睨まれた蛙(へびににらまれたかえる):非常に恐ろしいもの、苦手なものの前で、身がすくんでしまい動けなくなることだよーん☆彡
あの例え通り、男装してる私からしたら年上のお姉さんは苦手だし、今の瑠華さんはちょっと怖い!そのせいか、上手く身体が動かないもん!
そう思った時、蛇にあたる相手がカエルの立場である私に言った。
「あなたは男の子なのに・・・どうしてかしら・・・?」
「っ!?」
瞬きしない目が、瞳が、食い入るように私を見ている気がした。
「あ・・・・ぼ、僕・・・・!」
言えない。
男子ではなく、男の振りした女子だとは言えない。
(瑞希お兄ちゃんのことを思えば、本当は女だってバラせるか!!)
仕方ない!ここはひとまず―――――――――!!
「ごめんなさいっ!!」
「え?」
「だ、男子っぽくなくて―――――――男らしくなくて、ごめんなさいっ!!」
潔く謝った。