彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「えっ!?チョコちゃん・・・!?」
(―――――――今だ!!)
私の謝罪で動揺した瑠華さんのすきをついて、彼女の絡みついた腕から手を引っこ抜く。
「オスらしくなくて、本当にごめんなさいっ!!!」
一歩、瑠華さんから距離をとって頭を下げる。
私が歩いていたのは、車道側。
いざとなれば、歩道との策を飛び越えて、瑠華さんから逃走できる。
ここから、バイクを止めている場所までのルートは把握してる。
だから、うやむやにして、このまま逃げようと思ったのだが―――――――
「・・・あーはっはっはっはっ!!!」
「え!?」
突然の大爆笑。
反射的に、下げていた頭をあげれば―――――
ギュム!
「ぶっ!?」
「あっはっはっはっはっはっ!!もぉ~あっは!ふっふっふ~やぁーだぁ~・・・・!!」
「・・・・・・・え?」
抱きしめられていた。
正確には、大声で笑う瑠華さんに、道の真ん中でだきしめられていた。
〔★目立つハグだった★〕
「ちょ!?瑠華さん!?」
「うふふふ!ごめんなさいって~ふふ!そんな、オスらしくなくてごめんとか~あははは!」
笑いながらも、抱きしめるのをやめないお姉さん。
「あの!く、苦しいです!」
オッパイはやわらかいというのは、若干ウソがある。
大きければ大きいほど、場合によっては呼吸を圧迫するほど固い。
「む、胸が・・・くるし・・・!」
両手がバタつくが、瑠華さんは気づいてくれない。
むしろ、他の人達が気付く。
「おい!あのガキ、キレイな姉ちゃんの胸に顔をうずめてるぞ!?」
「まだ夕方だってのに、ムカつく!場所考えてイチャつけ!」
「しかし・・・うらやましい・・・!最高じゃねぇか・・・!」
「俺の彼女、謙虚なサイズだからなぁー」
「あれ、Gカップ以上はあるよな?俺もオッパイハグされてぇ~!」
「あの少年と場所代わってほしいぞ!」
いやいやいや!そんなによくないよ、この状況!?
息できないもん!
顔つぶれるもん!
あと私、汗かいてるのに抱きしめられちゃうのは困る!
臭いが!くさいとか!だから~~~~抱きしめないで!!!
〔★幸せなハグではなさそうだ★〕