彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「迷惑なんだよ三馬鹿!」
「帰れ!帰れ!!」
「凛道蓮さんに言いつけるぞー!?」
「な、なにが言いつけるだっ!?」
何気なく言ったお客さんの一言に、鼻ピアスがキレる。
「こ、この店は、龍星軍がケツ持ちじゃないのは、リサーチ済みなんだよっ!」
(ケツ持ち?)
「会長さん、どういう意味ですか?」
クズ語がわからなくて聞けば、微笑ましい笑みでおじいさんは語ってくれた。
「まぁ、わかりやすく言えば、『用心棒』ってことだな!こういう喧嘩になった時、店が雇ってる大人の用心棒が助けにくるってことなんだが~・・・龍星軍はそんなことしないだろう、チョコちゃん?」
「あ、そういうことならしますよ。」
「え!?」
会長にそう返事すれば、ふじこさんこと瑠華さんがギョッとする。
「するって、チョコちゃん!?」
「あ、『ふじこ』さん、危ないから下がっててくださいね?龍星軍が守ってないと思ってこんなことするなら、ケツ持ちっていうのになりますよ。」
「え?え?チョコちゃん・・・・!??」
「がははははは!それでこそ、チョコちゃんだな!?」
「おーい、君達!話はわかりました!不愉快なんで、叩きだします!!」
「なに言ってるの、チョコちゃん!?」
「いいんだよ、『ふじこ』ちゃん!あの子は、『真田瑞希の弟』なんだ!」
「え・・・・?」
キョトンとする瑠華さんとは対照的に、ピアス3兄弟は怒る。
「はあ!?なめてんのか、ガキ!?」
「誰の弟だってんだ、コラ!?」
「お前みたいなお子様に、なにができ――――――!?」
「わははははは!!」
しゃべりかけていた鼻ピアスの声を遮る笑い声。
ガシッ!
グワッシ!!
ブラーン!ブラーン!!
「う!?ええええええ!?」
「な!?うおおおおおお!?」
それで口ピアスと耳ピアスが宙に浮かぶ。
「ど、どうし・・・!?」
「わーはっはっはっはっ!!」
仲間の悲鳴を聞き返す鼻ピアスの言葉が途切れる。
馴染みのある声に合わせて。
「り~ん~す~け~!!喧嘩かぁ~!?」
「だ、誰だ!?」
「百鬼さん!?」
鼻ピアスの質問に答えたわけじゃなかったけど、その人の正体を口にする。
「わーはっはっはっはっはぁ――――――!!」
百鬼皇助である、と。
〔★血に飢えた野獣の百鬼が現れた★〕