彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「あ?『救われた』、だぁ?」
「そうです。」
「凛、救われてどうする?救うぐらいの根性見せろ。」
「え!?ご、ごめんな・・・!」
「いやいや、誤解だって!その坊や、勇かんだったぜ?」
メンチをきりながら瑞希お兄ちゃんに、私を最初にかばってくれた人がフォローしてくれた。
それで瑞希お兄ちゃんの視線がその人に行く。
「ゆうかん?」
「ああ。女守ろうと、戦ったからさ。」
瑞希お兄ちゃんの問いかけに、相手の男性は流ちょうに言う。
「女をかばいながら戦うのは、難しいと思うぜ?3対1だったわけで~」
「オメーら入れれば、3対3だろう?」
「おう、公平にした方が良いと思って乱入したからな。つーか、そんなに坊やの頑張りを評価したくねぇーの?」
「そうじゃねぇけどよ。」
「なら、褒めてもいいじゃねぇかな?なぁ?」
「・・・そうだな。」
「あ・・・。」
男の言葉に同意すると、再度私の頭を撫でる瑞希お兄ちゃん。
(口には出さず、態度で示してくれるあなたが・・・好・き♪)
〔★瑞希からのハグ、凛への誤解は解けた★〕
語らない男の人に身をゆだねて言えば、フォローしてくれた男が話しかけてくる。
「てか、マジでいい動きだったな?格闘技してるの?」
「え?ええ。」
「怪我してないか?大丈夫か?」
「はい、僕は大丈夫です。僕よりも女性・・・・あ!?そうだ、『ふじこ』さん!大丈夫ですか!?」
その言葉で、守ろうとした女性を思い出す。
名残惜しかったけど、瑞希お兄ちゃんから離れてお姉さんの元へ行く。
「お怪我はありませんか!?」
「な、ないけど・・・」
そう答える瑠華さんの歯切れが悪い。
「あ、怖かったんですね?でも、もう安心ですよ!逃げていきましたから!」
「そうじゃなくて!ねぇチョコちゃん、あなたのお兄さん、『真田瑞希』って言うの?」
「え?そうですが?」
「それだけじゃないわ!『凛』とか、『蓮』とか呼ばれて、さらには『凛道』って!?『チョコ』はあだ名よね!?『凛』が、あなたの本名じゃないの!?」
「あ、それはですね~」
「おーい、からまれた彼女~大丈夫かよ?」
私への瑠華さんの言葉を、かばってくれた男性が遮る。
それで2人の男女の視線が交わった。