彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「あ?『救われた』、だぁ?」

「そうです。」

「凛、救われてどうする?救うぐらいの根性見せろ。」

「え!?ご、ごめんな・・・!」

「いやいや、誤解だって!その坊や、勇かんだったぜ?」



メンチをきりながら瑞希お兄ちゃんに、私を最初にかばってくれた人がフォローしてくれた。

それで瑞希お兄ちゃんの視線がその人に行く。



「ゆうかん?」

「ああ。女守ろうと、戦ったからさ。」



瑞希お兄ちゃんの問いかけに、相手の男性は流ちょうに言う。



「女をかばいながら戦うのは、難しいと思うぜ?3対1だったわけで~」

「オメーら入れれば、3対3だろう?」

「おう、公平にした方が良いと思って乱入したからな。つーか、そんなに坊やの頑張りを評価したくねぇーの?」

「そうじゃねぇけどよ。」

「なら、褒めてもいいじゃねぇかな?なぁ?」

「・・・そうだな。」

「あ・・・。」



男の言葉に同意すると、再度私の頭を撫でる瑞希お兄ちゃん。



(口には出さず、態度で示してくれるあなたが・・・好・き♪)



〔★瑞希からのハグ、凛への誤解は解けた★〕



語らない男の人に身をゆだねて言えば、フォローしてくれた男が話しかけてくる。



「てか、マジでいい動きだったな?格闘技してるの?」

「え?ええ。」

「怪我してないか?大丈夫か?」

「はい、僕は大丈夫です。僕よりも女性・・・・あ!?そうだ、『ふじこ』さん!大丈夫ですか!?」



その言葉で、守ろうとした女性を思い出す。

名残惜しかったけど、瑞希お兄ちゃんから離れてお姉さんの元へ行く。



「お怪我はありませんか!?」

「な、ないけど・・・」



そう答える瑠華さんの歯切れが悪い。



「あ、怖かったんですね?でも、もう安心ですよ!逃げていきましたから!」

「そうじゃなくて!ねぇチョコちゃん、あなたのお兄さん、『真田瑞希』って言うの?」

「え?そうですが?」

「それだけじゃないわ!『凛』とか、『蓮』とか呼ばれて、さらには『凛道』って!?『チョコ』はあだ名よね!?『凛』が、あなたの本名じゃないの!?」

「あ、それはですね~」

「おーい、からまれた彼女~大丈夫かよ?」



私への瑠華さんの言葉を、かばってくれた男性が遮る。

それで2人の男女の視線が交わった。


< 347 / 922 >

この作品をシェア

pagetop