彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「凛、帰るぞ!」
「あ、待って下さい、おにい――――――――!」
「待って!!」
切羽詰まった声が背後からした。
「チョコちゃん、待って!!」
「え?」
振り返れば、青い顔の瑠華さん。
「あ、ごめんなさい。僕、もう帰ら―――」
「凛道蓮?」
「え?」
顔色の悪い瑠華さんが、私に近づきながら、今の私の名前を呼ぶ。
「ごめん・・・!混乱していて、わからないんだけど――――・・・・あなたの名前は、『凛』なのよね?」
「え?」
「『真田凛』って言うのよね?」
「え!?いや、あの・・・」
「あなたのお兄さんは、『真田瑞希』って・・・言うの?同姓同名だとしても――――――あなたの名前は、『真田凛』よね?」
「え・・・それは・・・」
そう聞いてくる顔に、何故か違うと言えない。
なんて答えるべきか迷っていれば、別の声がした。
「はあ!?『凛道蓮』って、あの『凛道蓮』!?」
言ったのは、モニカちゃんに抑え込まれている男。
「マジで、顔半分隠してて、童顔じゃねぇーか!?そういや、さっきの武器・・・トンファーだったよな!?」
「え?あの、あなたはどちら様で・・・?」
「テメークソ女!いつの間に凛道蓮をたらしこんだ!?龍志への復讐のつもりでー」
「やめろ!!」
止めたのは、最初に私をかばった男の人。
「そいつの暴言は詫びる。本当にすまない!だから『お姉さん』!手を離してもらえないか?」
「・・・・チッ!ツレの方がしっかりしてるな。」
頭を下げられ、モニカちゃんが忌々しそうに男のツレを離した。