彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「亜都司、行くぞ。」
「待てよ、龍志!このままでー」
「2度も言わせんなよ。わかるだろう・・・!?」
「っ!・・・わーたよ!」
「じゃあ、お騒がせしました。」
そう言って店内に向かって頭を下げると、伝票とお札を近くのスタッフに渡す男の人。
「あ!?お客様、おつりをー」
「いや、いいっす。」
短く言うと、店の出入り口へ向かう。
横を通り過ぎる時、龍志と呼ばれた男が私を見た。
「・・・!」
「??」
(え!?なに、その顔・・・??)
なぜか、思いっきりにらみながら去って行った。
(私・・・今の人には、何もしてないよ??)
なのにどうして、メンチをきりますか??
疑問がつきなかったけど、すぐにそれどころじゃなくなった。
「チョコちゃん!」
「あ・・・」
男2人が消えたところで、彼らの知り合いらしい瑠華さん再び名前を呼ばれる。
「えーと、今出て言った彼らはどちらさ―――――?」
「――――凛道蓮なの?」
質問の答えは、質問で返ってきた。
しかも今度は、瑠華さんが私をニラんでる。
「チョコちゃんが・・・凛道蓮なの・・・!?」
「あの・・・」
「答えなさい。あなたは『凛道蓮』なの?」
「瑠華さん・・・?」
「龍星軍の4代目総長の凛道蓮が・・・あなたなの、チョコちゃん?」
「あ・・・はい。すみません。」
とても、隠せる雰囲気じゃなかったので言った。
「名乗りそびれましたが、僕の名前は凛道蓮で・・・」
「――――――ざけんなっ!!!」
バッチーン!!
「ぶっ!!?いった!?」
強烈な張り手を食らう。
カンナさんよりも痛いかもしれない一撃。
「る、瑠華さん!?なんでー」
「うるせぇっ!!!二度と近寄るな、ゴミやろうっ!!!」
「ええっ!?」
「消えろっ!!!」
ドンっ!!
「わ!?」
理由も聞けないまま、突き飛ばされる。
後頭部を確実に床で打つと思ったら――――――
「凛っ!」
ガシッ!
「み、瑞希お兄ちゃん!?」
好きな人が抱き留めてくれた。
その間に瑠華さんは、店の奥・・・・関係者以外立ち入り禁止のドアの向こうへ行ってしまった。