彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「いらっしゃいませ。」
入ってすぐの入り口は、カラオケボックスの様に、対面式のカウンターになっていた。
カラオケボックスに例えたのは、いろんな音が混ざったにぎやかな音が響いていたから。
「こちらは初めてですか?」
そう言ってくる人の声は聞き取れたので、会話をする分には問題なかったが―――――
(げ!?こいつは!?)
声をかけてきた店員らしい人物に問題があった。
(ピアス3兄弟のうちの1人!?)
鼻ピアスだった。
(わあー!気づかれませんように!気づかれませんように!)
平静を装いながらも、心の中は大騒ぎ。
瑞希お兄ちゃんも気づいてるとは思うけど――――――
「お客様、何名様ですか?」
「3人。」
鼻ピアスの問いかけに、いつもと変わらぬ声で言う瑞希お兄ちゃん。
(カウンターは1人だけ・・・!?)
サングラスの下で、必死に目を左右に動かす。
そのかいあって、人影発見!だったけど・・・
(口ピアスと耳ピアスもいるー!!)
ニヤニヤしながら、瑞希お兄ちゃんを見ていた。
てか、鼻ピアスも変な目で瑞希お兄ちゃんを見てない!?
(まさかとは思うが、瑞希お兄ちゃんを『女子』だと思ってみてないかコラ!?)
〔★その可能性は高そうだ★〕
「個別で対応してますので、お連れ様はそちらで~」
「え?」
スケベ顔でそう言ったのは鼻ピアス。
結果、私が口ピアス、ヤマトが耳ピアスの対応となった。
(てか・・・横目で瑞希お兄ちゃんをチラチラ見るな、鼻ピアス!)
目の前の客に集中せんかい!・・・・と思ったけど、ジロジロ見られて正体がばれるのは困るので・・・黙認。
〔★凛の選択スキル、『割り切る』を使った★〕