彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



頑張っておとなしくする私に、口ピアスが接客をはじめる。



「『こちらの会員カード』をお持ちですか?」

「これで。」

『会員カード』と言われたら、見せるように言われていた、獅子島さんが用意してくれたカードを出す。

隣では同じように、鼻ピアスが口の端をあげながら瑞希お兄ちゃんに指示していた。



「かざしてください。」



言われた通り、機会にあてれば、ピッと音を立てて読み取る。



「大丈夫です。お時間は、こちらから選んで頂けます。フリータイムもございますが、何時間ですか?」



本当にカラオケボックスのパック料金みたいなメニュー表を見せながら聞いてくる。



「2時間で。」

「かしこまりました。」



打合せ通りの調査時間を伝えれば、伝票を渡してきたので受け取った。

これで入店完了かな?瑞希お兄ちゃんを見れば、彼も手続きが終わったようだった。

熱視線を無視して私を見ると、一言おっしゃった。



「遊ぼうぜ。」

「うん・・・」



瑞希お兄ちゃんの言葉に従い、彼についていく形で歩き出す。

その動きに合わせて、口ピアスと耳ピアスが奥の扉を開けた。



「キタキタ、勝った!」

「これ、難しくねぇ?」

「もうギルド来てるじゃん!」



(わぁー・・・・)



扉を開けた瞬間、明るい声と熱気にびっくりした。

店内は完全に、ゲームセンターと同じ・・・

例えるなら、コイン専用で遊べるスペースみたいで、ルーレットやデジタルの競走馬が動いていた。

なんとも賑やかなムードと音が、私達を出迎えてくれた。



「すごいな・・・」

「ホンマやな!うはははは!」

「突っ立ってないで、行くぞ。」



感想を述べる私達の肩を叩きながら、瑞希お兄ちゃんが小声で指示を出す。



「は、はい!」

「せやなぁ~!」



予定通り、私の前を瑞希お兄ちゃんとヤマトが歩き、それについていく形で店の中に進む。








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