彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
中央にルーレットコーナーがあるけど、ルーレットの中で一定の規則で、光が点滅してるだけの装飾品ポイ。
だけど、その周りを薄い画面が囲むように設置されてる。1人1画面みたいで、画面をタッチしながら遊んでる。
デジタルの競走馬の方も、ゲームセンターのものと同じで、勝つ馬を画面から選んでるみたい。
「ダメだか~勝てねぇ!」
「カートでもしようぜ!」
そう言って、すぐ近くにいた2人組が席を立つ。
その時、画面をタッチしてから何かを引き抜いた。
(カード?)
あれって、獅子島さんが用意してくれたカードじゃない・・・?
そのまま目だけで2人組を追うと、言葉通り、ゲームセンターのカートゲーム機みたいなマシンのところに行って、抜いたカードを差し込んでいた。
(仕組みがゲームセンターとほとんど同じだ・・・)
「・・・凛、気づいたか?」
「お兄ちゃん。」
私の方へかがみこみながら、好きな人がささやく。
「カードで遊んでる奴と、遊んでない奴がいる。」
「え!?」
言われて注意深く見れば、格闘ゲームで遊んでいる子達は、手元の画面を指で押すだけで、カードの出し入れをしてない。
「・・・本当ですね。」
「カードを使ってない奴ら、右奥の個室を行き来してる。」
言われて視線を右に送れば、その一角だけ、個室のブーススペースになっていた。
10ほどある個室の引き戸が忙しく動く。
入れ替わり立ち代わり人が出入りしている。
「うははは!中にパソコンがあるのが、見えたで~!」
「わっ!?パ、パソコン!?」
私の耳元で、高身長の関西男子が報告してきた。