彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
得意げになる私をよそに、瑞希お兄ちゃんは淡々としゃべる。
「オメーらの読み通りなら、今言ったことが、『ここに必ず来る理由になる』わけだ。ネットゲームなのによ~」
「すごく悪知恵働いてますね!」
「うはははは!瑞希はん、早い早い!そのまま一着になるんとちゃいまっかー!?」
「一着しか狙ってねぇーよ!・・・ここが『ネットゲームの常識が通用する場所』なら、登録者に特典とかも付けてるかもな・・・。」
「え?」
「うはははは!」
「新規のユーザーを集める時、口コミ以外で決め手になるのは、『登録すればどれだけ得するか』だろう?」
「あ!?」
言われてみればそうだ!
「そうなると―――――――」
瑞希お兄ちゃんが踏むアクセル音と、周りの歓声が大きくなる。
「お友達紹介特典もあるはずだろう?」ギュルルルルルーン!!「うはははは!!ゴールや!!」
瑞希お兄ちゃんのマシンが、ぶっちぎぎりで優勝した。
「すげー!二位との差が大きすぎ!」
「てか、ベスト10に入ってるー!」
優勝をたたえる画面の後で、瑞希お兄ちゃんのIDがベストタイムの中に表示される。
「かっけー!めっちゃすごいですね!」
そう言いながら、数人が瑞希お兄ちゃんの側に寄って来る。
「お姉さん、俺らに教えて下さいよー!」
「お!?」
「うは!」
「・・・。」
100%悪気はなさそうな少年の一言。
「お姉さん!俺も俺も!」
「あたしも習いたい!お姉さん、めちゃかっけーもん!」
「顔小さくて可愛いい~」
「それなのに、バイクテクありすぎ!」
「ギャップ萌えだわ!」
それが少年ばかりか少女も・・・後から後から言ってくるから・・・
(お、お怒りが!瑞希お兄ちゃんがお怒りになる!大変なことになるぅ~!!)
〔★瑞希への禁止ワードが連発された★〕