彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



(瑞希お兄ちゃんの正常なお怒りを、よかったと思うべきか思わないべきか・・・)



「えーこいつ、お姉さんのパシリなの~!?」

「そうよぉ~ははは!」



何も知らない少年の問いに、極上の笑顔で瑞希お姉・・・お兄さんは答える。



「おい、パシリ!ポカリを買ってこい!あ、君達もおごったげるから、好きなものを言いなさ~い♪」

「やったー!俺コーラ!」

「伊右衛門!」

「俺はCCレモン!」

「ファンタの白桃を下さい!」

「グリーンダカラでよろしく!」

「以上だパシリ!ジュースと、なんか食えそうなもんあったら買ってこい!おつりは返せよ!ジュースは全員分で量が多いから、このエコバックに入れて帰ってくるように!」

「うははは!承知~!」



乱暴に言うと、ポケットティッシュサイズに折りたたんであるエコバックをヤマトに投げる瑞希お兄ちゃん。



「あの、僕は・・・?」



恐る恐る聞けば、一番いい笑顔で瑞希お兄ちゃんは言った。



「後輩は、好きなジュース勝ったら、好きにそこら辺を見て回っておいで~♪お時間が来たら、ここに集合よ。わかった?」

「わ、わかりました。」



呼び方も含めて、わかりました・・・



(そうか、私は『後輩呼び』か・・・)



「ええ~後輩君だけズルいなぁ~!?まいったなぁ~うはははは!!」



(ズルくないよ、ヤマト。君も瑞希お兄ちゃんのことをお姉さまと呼ばなければ、放流コースだったのに・・・)



「はい、後輩用のジュースのお金♪おつりはお小遣いにしていいからね。ほら、パシリ!さっさと行け!」

「ええ!?あの、自分の分は自分で~」

「うははは!ええから受け取っとき!」

「オメーが言うな!早く買って来い!あ、後輩はゆっくりでいいからな~」

「・・・はい。」



そんな笑顔で言われたら、従うしかない。

どちらともなく、自然な動きで瑞希お兄ちゃんに頭を下げ、自販機がある一角へと向かう私とヤマト。





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