彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
(ネットカジノっていうから、みんな画面の前から離れないのかと思ったけど――――)
「イベント始まるよ!」
「ねぇーもう一回しよう。」
「ちょっとトイレ。」
「ガチャであたりキタ!」
「初めまして!リアル出会えるなんて~」
「チャージしてくるね!」
聞こえてくる会話はバラバラ。
1人だったり、グループでつるんでたり・・・
みんな結構、自由に歩き回っている。好きなことをしている。
「結構フリーダム・・・?」
ゲームセンターの中にいるようで、かしこまった感じはしない。
(そうじゃなきゃ、こんなに人がいないよね――――――)
「ん?」
何か引っかかる。
「・・・あれ?」
思わず立ち止まる。
(なんでここで、こんなに落ち着いて過ごせるんだろう?)
ゲームセンターみたいだと、雰囲気が似てるから・・・?
いや、違う!
人が違う!
(ここに来ているお客さん、子供ばっかりじゃない!?)
パッと見て、大人だと即答できるのはスタッフばかり。
お化粧とか、持ち物とかで、大人?とは思うけど、明らかにみんな若い。
(私と同世代の未成年が多くない!?)
瑞希お兄ちゃんの例もあるから何とも言えないけど、それでも年齢層は低い気がする。
-ゲーム慣れしちまってるから、ゲームをする感覚でネットの違法カジノをやっちまってんだよ。ネットカジノのデメリットは、課金ゲームの延長戦感覚でしちまうから罪の意識がないんだ。金を使うって意味では、どちらも同じだから、違いがわからなくなってるんだろう。ー
(ここで遊んでるってことは―――――――みんな違法な闇ネットカジノだって知ってるの・・・?)
何人、悪いことだとわかっててやってるのだろう。
「ねぇ、宿題やった?」
「え?あったっけ?」
「漢文を訳すのが出てたじゃん?」
「だから、給食の時間にログインして~」
「こんな場所があるなんて最高♪」
「自分のスマホはマズイから、ここのパソコンで~!」
(瑞希お兄ちゃんの言う通り・・・・悪いことしてるって感覚はなさそうだわ。)
そう思ったら、ひどく悲しくなった。