彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



(ネットカジノっていうから、みんな画面の前から離れないのかと思ったけど――――)



「イベント始まるよ!」

「ねぇーもう一回しよう。」

「ちょっとトイレ。」

「ガチャであたりキタ!」

「初めまして!リアル出会えるなんて~」

「チャージしてくるね!」



聞こえてくる会話はバラバラ。

1人だったり、グループでつるんでたり・・・

みんな結構、自由に歩き回っている。好きなことをしている。



「結構フリーダム・・・?」



ゲームセンターの中にいるようで、かしこまった感じはしない。



(そうじゃなきゃ、こんなに人がいないよね――――――)

「ん?」



何か引っかかる。



「・・・あれ?」



思わず立ち止まる。



(なんでここで、こんなに落ち着いて過ごせるんだろう?)



ゲームセンターみたいだと、雰囲気が似てるから・・・?

いや、違う!

人が違う!





(ここに来ているお客さん、子供ばっかりじゃない!?)





パッと見て、大人だと即答できるのはスタッフばかり。

お化粧とか、持ち物とかで、大人?とは思うけど、明らかにみんな若い。





(私と同世代の未成年が多くない!?)





瑞希お兄ちゃんの例もあるから何とも言えないけど、それでも年齢層は低い気がする。



-ゲーム慣れしちまってるから、ゲームをする感覚でネットの違法カジノをやっちまってんだよ。ネットカジノのデメリットは、課金ゲームの延長戦感覚でしちまうから罪の意識がないんだ。金を使うって意味では、どちらも同じだから、違いがわからなくなってるんだろう。ー




(ここで遊んでるってことは―――――――みんな違法な闇ネットカジノだって知ってるの・・・?)



何人、悪いことだとわかっててやってるのだろう。




「ねぇ、宿題やった?」

「え?あったっけ?」

「漢文を訳すのが出てたじゃん?」

「だから、給食の時間にログインして~」

「こんな場所があるなんて最高♪」

「自分のスマホはマズイから、ここのパソコンで~!」





(瑞希お兄ちゃんの言う通り・・・・悪いことしてるって感覚はなさそうだわ。)





そう思ったら、ひどく悲しくなった。






< 522 / 922 >

この作品をシェア

pagetop