彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「お客様。」

「え!?」



店内を見て回る私に、女性スタッフが声をかけてきた。



「タブレットの貸出でしたら、おうかがいいたしますよ?持ってきましょうか?」

「え!?あ!いえ!スマホあるので~初めてだから~目移りを~」

「あ、そうでしたか?当店で初回ログインされると、ゲームアプリで利用できるポイントをプレゼントしてます。向こうのパソコン席だけでなく、当店で貸し出しているタブレットやアイフォンからログインしても、もらえます。こちら、最新のアイフォンなんですが、ログインしてみてください。」

「え?いえ、自分のスマホがあるので~」

「ゲーム中に電話が来たら面倒でしょう?どうぞ。お客様に無料で貸し出ししてるものですから。」

「いや、いいです。」

「タブレットの方がよかったですか?」

「自分のスマホがありますから!」

「そうですか。」



強めに言えば、残念そうに引き下がる女性店員。



「それじゃあ、もし、自分のスマホだと、履歴が残って親に見られたら面倒だなぁ~とおもったら、私に!声をかけて下さいね?私にですよ?」

「え?」

「私で、お願いします!」

「わ・・・わかりました。」

「ありがとうございます。では、失礼しました。」



そう念押ししてから女性従業員は立ち去る。



(なんであんなにしつこかったんだろう・・・?)



―借金まみれにして金を稼がせてるのは間違いねぇ!!―



(まさか・・・・・・・・今の人、ネットゲームの借金の被害者なの・・・・・・!?)




「あの~お客様。」

「え!?」



再び声を掛けられる。

今度は別の女性スタッフ。

さっきの人より化粧が濃いめの・・・派手なギャルだった。



「今~おすすめのゲームを紹介してるんですけど~このタブレットからログインしませんか?」

「え!?いえ、スマホがあるかいいです!さっきの方にも、そう言って断ったんです!」

「あ~そうなの~うーん、困ったなぁ~」

「なにがですか?」

「実は~・・・」



周囲を気にしながら、ギャルのスタッフが小声でささやく。





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