彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「ノルマがあるんですけど、厳しくて~」
「な、なんのノルマですか??」
「今キャンペーンで、いつもやってるゲームとかを、うちのお店から初ログインした人に~ネットで使えるポイント通貨をプレゼントしてるんですよ~」
「え・・・・・!?」
―使えそうな奴を、GREATSTAGEの店員としてノルマ付きで働かせてるって噂がある。―
(これ、瑞希お兄ちゃんが言ってた通りじゃ・・・)
「あたしまだぁ~誰もログインしてもらえてなくてぇ~お兄さんがログインしてくれると助かるんだけどなぁ~」
「・・・・・・・さっきの女性と約束したんです。ログインする時は、あなたの端末からしますって。」
「あーそうですかっ!」
私の返事が気に入らなかったのだろう。
不機嫌そうにギャルは言うと、さっさと私から離れて言った。
そして、離れた場所で見ていた似たような見た目の子達に、私を指さしながら何か言っている。
(なにを話してるかわかるけど・・・感じ悪ーい。)
でも、おかげ様でいろいろわかった。
少なくとも、ネット上で使える通貨をエサにして、客を集めているのだ。
ゲームの登録ではなく、初めてログインする場所ということなら、だれでもその場でしてしまう。
(こんな手口で引っ掛けてるとは・・・)
わかったのはよかったけど、これ以上、変なのにからまれるのはゴメンだ。
(とりあえず、ゲームしてるふりだけでも~)
そう思い、偽装のためにスマホを手にしたのだが・・・
「ねぇ、あなたよく来るの?」
「え?」
本日3回目の声掛け。
(また店員!?)
みんなしつこすぎない!?
そんな思いで振り返れば―――――――
「えへへ。こんばんは~」
「え・・・?」
お店の人間ではなかった。
ゲームをするために来たと思われる、知らない女の子だった。
ふわっとした髪が、肩でゆれていた。
あどけなさもある、無邪気な美少女系。
人懐っこい笑みを浮かべながら、私へと話しかけてきた。