彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「来い!」
「離して!やめ――――」
「やめなさい!!」
女の子の手をつかむ悪い男の手を、ロックオンした私が思いっきり叩いた。
ピシャッ!!
「いてぇ!?」
そう言って手を離した鼻ピアスと、女の子の間に割って入る。
女の子を背中に隠す。
目の前で痛めつける女の子を助ける方に体が動いた。
「大丈夫ですか?」
「あ、ありがとう・・・!」
「なんだこのガキ!?」
「どっかで見たことがあるぞ!?」
「あ!?まさか、『あいつ』のパシリか!?」
「パシリ?」
耳ピアスの言葉にイラっとした。
どこのだれか知らないけど、私は瑞希お兄ちゃんのパシリ以外はしない!!
〔★愛する人の言いなりはOKらしい★〕
「このガキ!邪魔するなら殺すぞ!?」
「はい、脅迫罪頂きましたぁ~」
「脅迫罪だとぉー!?」
「18歳未満の子にそういうこと言うと、脅迫罪が成立しますよ?」
「なっ!?」
まいど!と敬礼しながら言えば、ギョッと目を丸くする鼻ピアス。
「・・・!?なんだ!?前にも、似たような目にあったような・・・・!?」
「はい!余罪頂きましたぁ~!」
「そういう感じで言われたぞ!?てかお前・・・さっきの可愛い子の連れだろう!?」
「誰が可愛いだぁ?」
動揺する鼻ピアスの背後に、あの方が立たれる。
(瑞希お兄ちゃん!!)
そう呼びたいけど、これは内緒の張り込み!
お兄ちゃんが私を交配と呼ぶのだから、ここはやっぱり~
「先輩ー♪」
声を大にして呼ぶ。
リアルな話、5歳も離れてると、同じ学校で先輩♪後輩♪と呼び合えるのは無理無理!
「先輩、せんぱ~い♪」
「はしゃぐな後輩!ということで、連れに何してんだ?」
振り返った鼻ピアスに、メンチを切りながら言う瑞希お兄ちゃん。
元・初代龍星軍総長ということもあり、おそらく女の子と思い込んでる輩からしても、迫力はあったと思う。
その証拠に鼻ピアスは、後ろ歩きで瑞希お兄ちゃんから離れながら言った。
「お、お姉さんよ~あんたの連れがこっちの仕事の邪魔をしてるんだよ!やめさせないと、お姉さんが困ることになるぜ!?」
「おねえさん、だぁ?」
「お、お姉さま!」
(違う!そうじゃないよっ!!)
不機嫌そうに言う瑞希お兄ちゃんを見て、丁寧に言い直したつもりかもしれないけど、それ全然親切じゃないから!!
〔★無自覚の嫌がらせだ★〕