彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



(てか、ヤマトはどこにいるの!?ヤマトは!?)



サングラス越しに探すけど、視界が悪くて見つけられない。

こんなに見えにくいのに、なんでサングラスをする人はするわけ!?

私にはまだ、そのこだわりがわからなーい!



「後輩!なにがどうした!?迷惑かけたのか!?」

「違います!」



とりあえず、瑞希お兄ちゃんからのお声がけには速攻で答えた。



「この人達がいきなり、女の子を強くつかんだんです!ほら、腕に手形がついてる!乱暴ですよ!」



実際、女の子の手には赤い手の痕(あと)が残ってる。



「うわ、痛そー」

「あれはないわー」

「なになに?クレーマーじゃなかったの?」

「スタッフが悪いわけ?」

「見た目からして悪いじゃん?」



それで周りもざわつき、口ピアスと耳ピアスが移動し始めた。



「え!?逃げるの!?」

「だ、だれが!?」



私の声が届いたらしい耳ピアスが、立ち去るのをやめて帰ってきた。



「坊主!見た目が可愛いからって、そのガキの味方してると痛い目にあうぞ!?」

「それが店員さんの、お客様への言い方ですか~?」

「このガキ!?」

「後輩!」



耳ピアスが私に向かって手を振り上げた。

後ろにいる女の子が、体を震わせて私にしがみつく。



(・・・・ここは、足払いでしずめるか?)



そう判断した時だった。



ゴキッ!



「うはははは!困りますわ~スタッフさーん?」

「うっ・・・ああああ!?腕が!?」

「僕の友達になりするんでっかぁ~うははは!」



見上げれば、キレイな腕が、耳ピアスの汚い腕を背後から抑え込んでいた。



「暴力反たーい♪」

「ヤ・・・・・・パシリさん!」



ヤマトと言えなかったので、悪いとは思ったけど、パシリ呼びをする。



「呼んだぁ~後輩ちゃーん!?うはははは!」

「いっ、いたたたたた!!」



身もだえる耳ピアスの背後で、陽気に横ゆれする大男。





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