彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
私の声に反応して動く姿は・・・声で動くレトロなおもちゃを連想させた。
「うははは!10%の力を8%に減らすぅ~」
「これで10%痛てぇーよ!?」
「ちゃうちゃう!8%!うははは~」
私がそんなことを考えている間にもヤマトは、耳ピアスへの力を調整しながら圧をかけていく。
「なんか自分~逃げるように見えたけど~後輩君のとこに暴力ふるいにUターンして見えたから~先手を取って攻撃したけど~それでよかったかなぁ~!?」
「だ、誰が逃げるだ!?痛たたた!」
「うははは!なにか違いましたかぁ~!?」
「違う!てか、放せよ!」
「うははは!!なにか違いましたかぁー!!?」
「い!?痛い痛い!逃げようとしたんじゃない!俺らは、責任者を呼びに行こうとしただけだ!!」
「「「それ、1人だけ行けばよくない?」」」
「その通りです。」
私と瑞希お兄ちゃんとヤマトの意見と声がそろった時、それを肯定する声が響いた。
「困りますよ、お客さん方。」
そう言ってやって来たのは、見覚えのあるインテリ風の男。
「マネージャー!」
(あ!?あいつだ!カンナさん達を呼び出した――――――『美涼』って人だ!)
テレビ電話で見た、『GREAT STAGE』の永山の部下の美涼という男性だった。
そいつは、私達を1人1人見た後で、私に視線を向けながら言った。
「ここはゲームを楽しむ場所です。個人情報のやり取りは困りますね。」
「個人情報?」
「そうですよね、亜都子(あつこ)さん?」
(あ、私じゃなかった?)
美涼と言う男が見ていたのは、私の背後に隠した女の子。
「あなたは出禁にしたはずですが?」
「え!?出禁!?」
(出禁にするって相当悪くない!?)
そんな思いで美少女を見れば、焦るような様子で言った。
「な、なんのことかしら?」
「困りますよ、亜都子さん。お友達を連れてきても、あなたの入店は許可できません。お帰り下さい。」
「え!?帰していいんですか、マネージャー!?」
美涼の後ろに隠れるようにして立っていた口ピアスの言葉に、マネージャーは心底不愉快そうな表情で告げる。