彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「行きましょう。」
「え!?ど、どこに行――――!?」
「いいから来い。」
「先輩!?」
いつの間にか真横に来ていた瑞希お兄ちゃんが、私がつかんでいる腕とは反対の腕をつかみながら告げる。
「ちょ、ちょっと~バランス考えて持ってよ!てか、放して~」
「ほな、行きましょか~」
後ろを守るヤマトの言葉に合わせ、抵抗する女の子を瑞希お兄ちゃんと2人がかりで連れ出す。
レジで伝票を渡せば、鼻ピアスに舌打ちをされた。
不愉快だったけど無視してお店の外に出る。
無事に、店外に逃げることができた。
「なんなのよ!?なんで、邪魔をー」
「邪魔したのは君です。」
「つーか、あれはヤバい奴だぞ・・・」
「うはははは!」
女の子を真ん中に挟み、横並びで足早に進む私と瑞希お兄ちゃん。
時々、背後を見ながらついてくるヤマト。
お店が見えなくなるまで、安全な場所まで避難する。
人の多いところまで撤退すると、女の子から体を離す。
「ここまでくればいいだろう・・・」
「そうですね・・・それはそうとお兄ちゃん・・・ヤバいって、マネージャーと呼ばれていた男のことですか?」
「え?お兄ちゃん!?」
「おう。オメーも気づいたか?ありゃあ、カタギじゃねぇーなー・・・」
「えっ!?兄弟?てか、あいつが一般人じゃないってわかるの!?」
「・・・その口ぶりだと、君は何者か知ってるんですか?」
「もちろんよ!だから調べてたんだから!」
「「調べる!?」」
「うはははは!あの店、調査する必要あるんかいなー??」
「あるのよ!あのお店は――――愚連隊の『龍勢偉鎧』が闇ネットカジノをしている場所なの!」
「え!?」
それって、ちーちゃんが言ってた埼玉の族!?同じだったんだ。
瑞希お兄ちゃんを見れば、彼はうなずく。
ターゲット変更!この子から聞き取り調査をすべし!