彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「お兄ちゃん、知り合い?」
「亜都子こそ!なんでこいつらといるんだ!?」
「えーと、ちょっとね・・・」
「ナンパかコラ!?」
「違います。」
冤罪(えんざい)になる前に、正確な真実を伝えた。
「『GREAT STAGE』で声をかけられ、個人情報を聞かれた際、彼女がお店の人に連れていかれそうになったので助けただけです。」
「って、コラー!亜都子!!あれほど首を突っ込むなって言っただろう!?」
「えー!?バラさないでよ!!」
「つーか、どこかで会ってるよな!?どこだっけ~?」
「・・・そんなにわからないものですか?」
私を見ながら考え込む、『お兄ちゃん』と呼ばれた男。
思わず、目だけで瑞希お兄ちゃんを見ればうなずかれた。
仕方ないので、バンダナを出して口元に巻く。
そして、サングラスをはずしながら言った。
「これでわかりますか?」
「あっ!?」
それを見た女の子の兄が驚き、連れの男が低くつぶやく。
「凛道蓮・・・!?」
「えっ!?この子が、あの全国ナンバーワン暴走族の総長さん!?」
兄達と私達を見比べながら言う美少女。
それで固まっていた女の子の兄が動いた。
口を開いた。
「おい、鳴海瑠華の差し金か!?」
「え?なんのことですか?」
「とぼけんな!!」
聞き返したら、怒鳴り返された。
「お前、鳴海から、永山との縁を切ってくれって頼まれたんだろう!?色仕掛けに負けて、鳴海に肩入れしてんだろう!?」
「そんなこと頼まれてませんけど!?」
「亜都子に近づいた目的は何だ!?」
「はあ?だから、僕に声をかけてき――――――」
「ごまかすんじゃねぇぞ!?鳴海瑠華に何言われた!?俺の妹になにかしてみろ!?ただじゃおかねぇぞ!?」
「だから!少しは僕の話――――――」
「やめろ、亜都司!!」
私が言いきる前に、どすの利いた声が響く。