彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「取り込んでるところを悪いが、4代目さんよ、亜都子から、『GREATSTAGE』が『龍勢偉鎧』だって、聞いちまったのかな?」
「ええ、聞きました。」
「悪いが、龍星軍は『GREATSTAGE』の件から手を引いてくれねぇか?」
「手を引け?」
真面目な顔で言ってくる相手を見た後で、瑞希お兄ちゃんを見る。
彼は目を細めるだけで動かない。
たぶん―――――
「理由は?」
手を引けと言う理由を聞けと言う指示だと受け止めた上で神城さんに聞いた。
相手も瑞希お兄ちゃんを見た後で、私へと視線を戻しながら言った。
「俺が原因で『龍勢偉鎧』が『GREATSTAGE』に化けて、あんた龍星軍の縄張りで悪さしてる。」
(原因?この人が??)
「だから、俺らに落とし前をつけさせてくれ。」
「違うだろう、龍志!悪いのは、鳴――――――」
「亜都司!!」
私を見たまま、神城は仲間の名前を呼ぶ。
けん制する。
「4代目さんの前だ。かんべんしてくれ。」
「っ!わーたよ・・・」
速水は何か言いかけた。
(『な』から始める言葉・・・まさか、鳴海瑠華さん?)
今までの話の流れからするとそうなる。
しかし、それを聞けそうな雰囲気じゃない。
「あんた噂通りの硬派なら、俺の申し出、受けてくれるよな?」
どんな噂か知らないけれど、手を出さないって言うのは・・・・
(瑞希お兄ちゃんがダメって言いそう・・・てか、そういうアイコンタクトで見られてる気がする。)
瑞希お兄ちゃんのいる方角から、威圧感が迫ってきてる。
だから、無難な言葉で返すことにした。