彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「抜き打ち検査はさせてもらう。」

「はあ!?抜き打ち検査だあ!?」

「お兄ちゃん!」



真っ先に反応したのは速水の方。

神城の方は微動(びどう)だにせず、私の方を見ている。

たぶん、話を聞く姿勢でいてくれてるのだと思う。

その前提で、言葉を選びながら話す。




「そんなほえないでくれよ、速水君。神城さんの言い分もわかるが、俺らにも見物するぐらいの権利はあるぜ?ここらは、俺の縄張りだからな。もっとも、お手並み拝見ってのが本心だ。」

「嫌だと言ったら?」

「あきらめる。」



即答すれば、真顔だった神城がくすっと笑った。



「つまり、のぞき見かい?」

「大正解。」

「テメー!おちょくってんのかっ!?」

「だからお兄ちゃん、落ち着いてよ!」



速水の方は見るからに、受け入れる気配0の反応。



(神城さんは、頭の方はどう出るか・・・!?)



緊張を隠しながら見つめていれば、ふっと私を見るまなざしが優しくなった。





「わかったよ、4代目さん。」





ふふ、と笑うと、肩をすくめながら言った。




「ここは、あんたの、龍星軍の縄張りだ。抜き打ち検査に従うぜ。」

「平和的解決、ありがとうございます。」

「どういたしまして。なんなら、LINEの交換でもするか?」

「お気遣いだけでいいよ。交換とか、ガラじゃないだろう?」

「はは!ちげーねぇー」

(えーと、こんなまとめかたでいいかな・・・?)



そんな思いで瑞希お兄ちゃんを見れば、私の目を見ながら首を縦に動かして下さった。



(よかった~なんとか話がまとまったぁ~)



「それじゃあ、失礼するぜ、四代目さん。」

「ええ、気を付けて。」



そのまま解散の流れになったのだが――――――





「待って、凛道さん!」

「亜都子!?」





兄の側にいた妹が、私へと飛びついて来た。







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